慶弔

D.Gray-man小説。ティキとキャメ嬢。
一応クリスマスネタなんですが、全く明るくありません。ェェェ
ティーズを出そうか直前まで迷ったのはここだけの話。

　慶弔

 

　冷たく張り詰めた空気に白い息を吐き出し、ティキは隣の少女に目をやった。

　つい今し方、千年公から頼まれた「仕事」をこなし、これから帰ろうというところなのだが、街に下りてからこっち、何となくロードの機嫌が悪い。

　いつもなら最初は剥れてはいるものの、仕事が終われば早く帰ろうだの菓子を買えだのとせがみ出すものなのだが。

　表情にこそ出してはいないが、雰囲気で分かる。

　別に彼女の人間嫌いは今日に始まった事ではないし、普段仕事の時に不機嫌なのもそれが原因なのだが、これは何やら訳が違うようだ。

「なあロード。」

　煙草を取り出し、火を点ける。

「今日、どうかしたのか？」

「…ティッキー、分かんないの？」

　逆に質問を返され、返答に戸惑う。

　その時、黒いスーツの一点が白くなった。

　途端に周囲から歓声が上がる。

「わあ、雪だ！見て見て！」

「本当だ。今日降るとは、今年はラッキーだったな。」

「そうねぇ、これもイエス・キリストからの贈り物かしら。」

　…ああ、そうか、今日は。

　見渡すまでもなく、ひしひしと肌に感じる一種異様な高揚感。

　赤や緑、その他様々な色に彩られた街。

　豊かな白ひげを蓄えた老人の人形。

「なるほどね…。」

　彼女が陰鬱な気分になるのも分かる。

　煙を吐き出しちらと隣を見ると、そこには微笑を浮かべたロードがいた。先程の家族連れを見ている。

　てっきり眉間に皺でも浮かべているのだろうと思っていたティキだが、しかしながらその笑みは、

 

「哀れだねぇ。」

 

　憐憫混じりの、嘲笑だった。

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せいぜい呑気に楽しんでなよ。何も知らずにさ。